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或るOLの生活vol.1 | HEADMEDIZINE
01. COLMUN
COLUMN

或るOLの生活vol.1

2019年4月27日

時計のアラームが部屋に鳴り響く。冬の朝の布団の誘惑。温もりを帯びた布団が体を包み込み、わたしの心を掴んで放さない。

起き上がる事を全身が拒否している。ここ最近は、家を出る最も遅い時間を更新している。全速力で走って間に合ってしまうから明くる日に、今日こそ早起きしようと決心していても、頭の片隅に「間に合うんだ」という確信があってなかなか布団から出られず、遅い時間に出ようとしてしまう。

このままではよくないと思い、気をつけるとしばらくはいいが結局また、ぎりぎりの出勤になってしまう。

生活のリズムというか同じ事を続けることがわたしにとって、一番難しい。普通の人が当たり前に出来ている事なのに、なぜうまく出来ないのだろう。

そこで体を目覚めさせるために、会社に着くまでに飲みきれる量の白湯を入れた保温ボトルと、起きてすぐは食欲がないので好きな具を入れたおにぎりをひとつ握って持って行き、通勤中に食べたり、自分のなかでの楽しみを作るようにした。

そうすると遅刻しそうでもおにぎりはいる、という変な判断になり、ますますぎりぎり出勤だ。でも時々は早く起きれるようになった。

先日、博多の某神社にお参りに行った直後に犬の糞を踏み、次の日朝から痴漢に前を触られ、夕方から発熱し風邪をひいたり、よくない出来事はある日突然やってくる。

しかしそれがずっと続く事はない。またある日突然、おいしい蕎麦屋に巡り会えたり、大切な友人から連絡がきたりする。

同じように嬉しい出来事もずっと続かないが。

わたしはどこかで事件を期待している。歩きながら、一人暮らしをはじめたばかりのペンギンの気持ちになって歩いたり、近頃では、宇宙から来たスポークスマンが人ごみに混ざっているらしいので、それを「あの人そうかな?」と、勝手に探してみたり。

昔から読書が好きで、夏休みの遊びと言えば、もっぱら私立図書館で本を借りる事だった。通勤は電車の乗り換えがあるためなかなか読み進まないが、少しの時間でも本を読むようにしている。

最近は電車内でスマートフォンを触っている人が多く、なんとなくその並びに続きたくないのだ。それでもその人たちは余裕を持って出勤しているからなんだか自分が何にこだわっているのか分からなくなる。

※フリーペーパーSEROTONiN vol.2に掲載したコラムです。

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